生き物のチカラで農業を救う~読売KODOMO新聞記事~
皆さん、こんにちは。
生活環境ドクターのミスズマンです。
今日は、2023年(令和5年)12月21日読売KODOMO新聞様で掲載されておりました広告記事をミスズマンブログを見てくださっています皆さまにシェアしたいと思います。
以下は、広告記事になります。
Vol.1 生き物×農業~技術特集~
生き物のチカラで農業を救う~みどりの食料システム戦略の実践~
ダニVSダニ~天敵が主役のハダニ退治~
というタイトルです。
果物や野菜、お花などに害を与えるハダニから化学農薬を使わずに農作物を守る方法が見つかりました。それは、ハダニの天敵であるカブリダニを利用すること。農林水産省の「みどりの食料システム戦略」を進める画期的な方法です。どんな方法なのか、農研機構の外山昌敏(とやままさとし)さんにお話をききました。
【殺虫剤が効かない!?ハダニ退治は大変!】
ハダニは、植物の葉っぱの汁を吸ってからします。そのせいで、果物や野菜などの収穫量が減ってしまったり、見た目が悪くなったりしてしまうのです。それならば、殺虫剤でやっつけてしまえばいいと思いますよね?ところが、そう簡単ではないと、外山さんは教えてくれました。
「ハダニは殺虫剤に慣れる力がとても強い生き物です。そのせいで、新しい殺虫剤ができても、すぐに効果が出なくなってしまいます。開発にたくさんのお金がかかるだけでなく、殺虫剤を使う回数が多くなってしまうことが大きな問題になっていました。
【環境整備から始める天敵利用】
そこで、外山さんたちは、カブリダニにハダニを退治してもらう方法を研究してきました。昔から、カブリダニはハダニを食べることが知られていました。つまり、ハダニにとっては天敵です。そんな天敵を利用して、果樹を守る方法が「W天防除体系」です。(ダブテンボウジョタイケイ)
「まずは、カブリダニをはじめ、ハダニが天敵とする※1「土着天敵」が生きやすい環境を整えます。さらに、それだけで力不足なら、※2「天敵製剤」の力を借りてカブリダニの数を増やします。その土地の自然にいる天敵と、人工的に追加されたカブリダニの”ダブル”効果の仕組みがうまく働けば、ハダニ対策に年3~5回まいていた殺虫剤を、1回まで減らすことができます」
自然の力を最大限に利用した「W天防除体系」は、果物を安定的に収穫するだけでなく、環境を守るためにも役立つ技術です。
「たくさんの農家さんに、この技術を使ってもらうために研究を続けています」と言う外山さん。
「子どもの頃から生き物に興味がありました。好きなことを仕事にできることは幸せですよ」
と目を輝かせて語ってくれました。
※1 土着天敵
カブリダニをはじめ、テントウムシやアザミウマといった、もともとその土地の自然にいるハダニの天敵。農地の下草などを管理して土着天敵を増やす
※2 天敵製剤
害虫の天敵を生きている状態で製品としたもの。「W天防除体系」では、カブリダニの中でも、ハダニを好んで食べるミヤコカブリダニなどの天敵製剤を使う
農林水産省 企画・制作 読売新聞社イノベーション本部 広告より
美鈴環境サービスは、大手企業様をはじめ多くの医薬品工場や食品工場、関連企業様の虫混入対策として中枢を支えるお仕事に携わらせていただいております。
その中で、下草という言葉が出てきましたが、木陰に生える雑草を抜いてしまったり、ハダニと天敵ともいえる「アザミウマ」を駆除するといったこともあります。
今回の記事を見て、ものすごく考えさせられました。
私たちが行う駆除法の1つに「生物的駆除」というものがあります。これは、実際のところほどんど使わないのですが、このような方法でミヤコカブリダニなどがハダニ退治をしてくれるのであれば、どんどん取り入れていく流れをつくっていただきたいと思いました。
他のネット記事をみたら、ミカンハダニのW天防除体系としてスワルスキーカブリダニのことも見受けられました。
また、弊社が以前携わっていた中で、ハダニではありませんが、ノミバエの幼虫がサシバエの幼虫を食べ、動物の健康を守るといったW天防除体系もありました。実際、この駆除法を使っているのかどうかは定かではありますが、普及しないところを見ると、まだまだなのかなぁと思います。
ITやAIなどといったデジタル時代の中、今回、改めて自然のチカラの大切さを再認識させてくださった外山昌敏様に感謝したいと思います。
外山昌敏氏
農研機構 植物防疫研究部門 果樹茶病害虫防除研究領域 検疫対策技術グループ
【画像はAIイメージ】