殺そ剤の種類②
今般、薬局に市販されている殺そ剤(ネズミ駆除剤)の多くは、
毒だんごや毒エサといわれており、
固形剤や粉末を食べさせるタイプの食毒法(毒餌法・経口毒法)が一般的です。
又、そ穴(ネズミの巣穴)に散粉し、
体表に粉末を付着させて舐めさせることで、
間接的に経口より取り込ませる散粉法(散粉殺そ法)や
倉庫などの水の少ない場所で、水に溶かして飲ませる毒水法、
船舶やコンテナ、密閉できる倉庫で行うガス燻蒸法もあります。
従って、殺そ剤は以下のような条件が挙げられています。
① ネズミがよく食べてくれること。忌避性がないということも重要です。
② 微量で効果が出るほど良いということ。微量ほど安全です。
③ ネズミだけに致死効果が高くて、死骸の回収が行いやすいこと。
人畜に安全ということです。
④ 安価で使用方法が簡単であること。
では、殺そ剤の剤型はといいますと、
固形剤、粉剤、液剤、ペースト剤に分類されています。
種類は下記の通りです。
ここでは、慢性毒性殺そ剤を説明しています。
■慢性毒性殺そ剤(クマリン系殺そ剤)
抗擬血性殺そ剤(こうぎょうけつせい、さっそざい)と呼ばれています。
ビタミンKを阻害することで、内出血や傷口の血液が固まらないようにします。
早い話、出血多量で治癒させないということです。
網膜内に出血をさせて、視力を低下させます。
そして臓器に出血させます。
そのために、フラフラと明るい所へ出てきて死にます。
喫食性・殺鼠力も持ち、忌避性は少ない優れもので、
ゆっくり安楽死させる効果から「累積毒性殺そ剤」とも呼ばれます。
特にハツカネズミやドブネズミに効力が高いとされています。
クマネズミに関しては、他の食材と混ぜて使用することで喫食力が上がります。
内出血というものは、ネズミだけではなく、
私たち人間のからだでも気づかないところで起こっているようです。
欠点は、
元々ビタミンKが多く体内にあるネズミには、効果が薄いということです。
(1)ワルファリン
腐ったスイートクローバーから出る
ジクマロールという物質の構造を元に合成されたものです。
ちなみに昔、自殺を試みた人が大量服用しましたが、
死ぬことは無かったようです。
従って、非常に安全性に優れたものであります。
徐々に効果が現れる遅効性の薬剤で、連続して食べさせて駆除します。
商品によっては、ちょっと値段が高いものもあります。
●味わってみた感じ
製剤(完成品)を食べてみた感じは、特に味はしませんでした。
そういった点では、警戒心なく食べさせることが出来るものと思われます。
但し、形状によってクマネズミなどは食べにくいものもあるのかなぁと思いました。
●商品名
強力デスモア・ネズコロンS、チューモアブロック、メリーブロック、
レッドランソリッド、レッドランブロックS、レッドランT バラ、レッドランT赤袋など
(2)クマテトラリル
ワルファリンよりも抵抗性問題が少ないことから、
長年にわたって使用されているものです。
こちらもワルファリン同様に連続して食べさせて駆除します。
●味わってみた感じ
全く味のしない粉末でした。
故にワルファリン同様に警戒心をもたせることも無いでしょうし、
他の食材と混ぜて使いやすい点から、
昔から愛用されている理由に納得がいきます。
●商品名 エンドックス
(3)ジフェチアロール
従来のクマリン系殺そ成分の欠点を補うことに成功したもので、
第2世代抗血液凝固作用タイプです。
作用は抗擬血性で同じですが、徐々に食欲が減少し、
手足や耳が白色化してくるのが特徴です。
ワルファリンに抵抗性を持ったスーパーラットと呼ばれる
クマネズミに対して効果を発揮します。
少量の接食で効果を発揮するNEWクマリン系殺そ剤です。
効果の発現に関しては、7日程度で変わらないようです。
●味わってみた感じ
他のクマリン系のものと違って、少し苦みを感じました。
この微量の苦味を他の食材と混合させて、
絶妙に消すことが出来れば、喫食率が上がるものと思います。
オリジナル毒エサや毒ダンゴの調理が必要です。
●商品名
デスモアプロ トレータイプ、デスモアプロ 投げ込みタイプ
(4)ブロマジオロン
上記ジフェチアロール同様に、
従来のクマリン系殺そ成分の欠点を補うことに成功したもので、
第2世代抗血液凝固作用タイプです。
ジフェチアロールとの違いは、動物用であることとで、
スーパーラット(スーパークマネズミ)には効きにくいタイプがいることです。
牛や豚が仮に毒餌を食べて死んだネズミを食べても、大丈夫なものです。
こちらも少量の接食で効果を発揮するNEWクマリン系殺そ剤で、
2~3回の接食で効果を発揮出来ます。
●味わってみた感じ
かなり甘味があって美味しいです。
被害のあるものを混ぜることで、さらに喫食力が上がるものと思います。
●商品名 ラニラット
■使用上の注意
人間や家畜にとって、安全性に富んだ製剤ではありますが、
無害ではありません。保存には十分に注意しましょう。
万一、身体に異常を来した場合や誤食してしまった時は、吐き出しましょう。
そして、クマリン系殺そ剤を食したことを速やかに医師に告げて治療を受けて下さい。
治療剤としては、ビタミンK1が有効とされています。
■保管上の注意
①食品、食器、飼料などと容器は必ず区別し、表示をしましょう。
②小児やペットの手の届かない、直射日光の当たらない冷所、乾燥した所に保管しましょう。
③不要になった毒エサと使用済みの容器は、焼き捨てましょう。
※食べてみた感じの評価は、ブログ管理人が味わってみた感想です。
(ただちに吐き出しております。)
評価に関しては個人差があることを予めご了承下さい。
そして、くれぐれも真似はされないようにして下さい。
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