防除薬剤の剤型1
こんばんは。
今回から2部に分けて、防除薬剤の剤型についてお話したいと思います。
剤型とは、原体が適用方法に適した形 をいいます。
では、剤型にはどんな種類があるのか液剤とそれ以外で分けてみました。
本日は、液剤を中心に説明します。
それ以外は 『防除薬剤の剤型2』 でお話したいと思います。
① 油剤
原体が油状の薬剤
または、これに他の薬剤を添加した製剤(完成品)で、
希釈せずに使用するものです。
次に説明する②油溶性剤と混同しやすいですが、
シロアリ防除で使用する薬剤は②の方なので間違えないようにしましょう。
② 油溶性剤
有効成分を灯油等の溶剤に溶かしたもので、
希釈せずに使用するものです。
水には溶けにくいですが、一般に有機溶剤には溶けやすいです。
私がこの業界に入った時は、TCO(ターマイトコントロール:しろあり防除)で
頻繁に使用していた剤型です。
略して「油剤」と呼んでおり、①の油剤とは違うことを理解しておきましょう。
③ 水溶性剤
一般に無機化合物が主体であり、
有効成分を水に溶かして使用するものです。
溶剤が油ではなく水 ということです。
火気の心配が無いだけではなく、
ベタつきがなく家や家具が汚れにくいのが良いですね。
早い話、安全性に優れています。
④ 乳剤
有効成分を溶剤に溶かし、
これに界面活性剤(乳化剤)を加えたものです。
比較的、高濃度の有効成分を含みますから、
水に希釈して乳濁液 とします。
昔、ペットボトルに希釈した乳剤を業者が放置してしまい、
痴呆症の方が牛乳と間違えたのかどうか分かりませんが、
誤飲するという事故が起こりました。
乳剤に関わらず、殺虫剤は絶対に、
飲食容器に入れないようにしましょう。
特に自治体で一般的に使用される時などに多い事故です。
⑤ 水和剤
有効成分に、増量剤及び補助剤を加えたものです。
粉砕した微細な粉末製剤を水で希釈し、懸濁させて使用します。
粉末状や錠剤のものがあり、シロアリ防除薬剤では、
顆粒水和剤(かりゅうすいわざい)というものがあります。
残留噴霧用にとても適した製剤です。
⑥ 可溶化剤
溶かせない原料を溶かすために使用されるもので、
有効成分を溶剤に溶かし、これに界面活性剤などを加えたものです。
水を加えて、透明な溶液にして使用します。
樹木用の殺虫剤などに使用されています。
⑦ フロアブル剤
固体の有効成分を微粉末にして、
界面活性剤・脱イオン水・分散保持剤・安定剤などを加えた懸濁製剤です。
原体または水で希釈します。その際は、必ず撹拌して薬剤を作りましょう。
ノズルの中に詰まりが生じたり、散布始めと終わりで濃度が違うと、
十分な結果が得られません。
フロアブル剤は、泡殺虫の際にもよく使われます。
尚、粒状に成形した顆粒水和剤は、
別名ドライフロアブルと呼ばれます。
⑧ 懸濁剤(けんだく)
固体の有効成分を微粉砕にするか、
他の物質に吸着または被覆させ、
分散保持剤・安定剤・補助剤を加えた懸濁製剤です。
水で希釈して使用します。
成長抑制剤(IGR剤)などに使われます。
⑨ マイクロカプセル剤
有効成分を微小カプセルに入れて、
徐々に溶出させるか、噛むことによって放出させる製剤です。
マイクロカプセルの文字を取ってMC剤(エムシー)と呼ばれ、
非常に安全性が高く、
悪臭もせずに効果が長時間持続するのが長所です。
短所は、化学変化しやすくカプセルが壊れやすいことです。
使用する前は、ホース内が詰まらないように、必ず撹拌しましょう。
⑩ ペースト剤
有効成分に増量剤または補助剤を加えて、
のり状にした製剤です。そのままか水で希釈して使用します。
野バト防除の忌避剤としても使われます。
【殺虫剤の補助剤】
補助剤には、主剤を溶解するための溶剤、
液体同士や液体と固体を混ぜた場合に、
界面(境界)の状況をなめらかにするための界面活性剤、
有効成分を分散したり増量したりするために用いる増量剤があります。
プロは、自然環境及び人環境に配慮して、
薬剤の選定を行った上、対象虫の防除を行っております。
困った際は、速やかに依頼するようにしましょう。