殺そ剤の種類①
今般、薬局に市販されている殺そ剤(ネズミ駆除剤)の多くは、
毒だんごや毒エサといわれており、固形剤や粉末を
食べさせるタイプの食毒法(毒餌法・経口毒法)が一般的です。
又、そ穴(ネズミの巣穴)に散粉し、
体表に粉末を付着させて舐めさせることで
間接的に経口より取り込ませる散粉法(散粉殺そ法)や
倉庫などの水の少ない場所で、水に溶かして飲ませる毒水法、
船舶やコンテナ、密閉できる倉庫で行うガス燻蒸法もあります。
従って、殺そ剤は以下のような条件が挙げられています。
① ネズミがよく食べてくれること。忌避性がないということも重要です。
② 微量で効果が出るほど良いということ。 微量ほど安全です。
③ ネズミだけに致死効果が高くて、死骸の回収が行いやすいこと。
人畜に安全ということです。
④ 安価で使用方法が簡単であること。
では、殺そ剤の剤型はといいますと、
固形剤、粉剤、液剤、ペースト剤に分類されています。
種類は下記の通りです。ここでは、急性殺そ剤を説明しています。
■急性殺そ剤
(1)シリロイド(海葱:うみねぎ)
ユリ科の植物、赤海葱の球根から得られる成分で、
呼吸麻痺によって駆除するものです。
喫食性・殺鼠力も持ち、忌避性は少ない優れものです。
特にハツカネズミに効力が高いとされています。
人畜には有害で誤食すると、おう吐します。
●商品名 ネズミ退治デスラット
(2)ノルボルマイド
この化合物は、ネズミの体内に血液を廻らせなくさせて駆除するものです。
忌避性は多少ありますが、喫食性・殺鼠力もあり
クマネズミとドブネズミに特効的です。人畜危害は少ないです。
(3)リン化亜鉛
黄燐と亜鉛を化合させて安定した物質としたもので、
ネズミの体内(胃酸や水)でリン化水素を発生させて駆除します。
忌避性が多少あり、喫食性もイマイチなのですが、
死亡すると発散して無毒化となるため、
他の動物が死そを食べても二次被害が起こらないという
最大の長所を持っています。但し、人畜の直接摂取は有毒です。
●商品名
メリーネコP・メリーネコリン化亜鉛・メリーネコ1号・
ダンクローデンG・ダンクローデンパウダー・
ダンクローデンGA・ネオラッテクイックリー
(4)硫酸タリウム
重金属化合物の毒性と硫酸とを化合させた安定物質で、
細胞変性を起こして各臓器に障害を与えて駆除するものです。
効果は少し遅いですが、喫食性・殺鼠力に優れています。
但し、ネズミの体内に入ってからも残留するので、
他の動物が死骸を食べたら死んでしまったり、
中毒を起こしたりと人畜危害があるのが難点です。
●商品名 メリーネコタリウム
(5)黄燐(おうりん)
別名「猫いらず」と呼ばれるものです。
毒劇物取締法で毒物に指定される非常に猛毒なものです。
その猛毒さで近年のネズミに対して喫食性も悪くなりました。
人畜にも大変危険ですので、絶対に使用しないで下さい。
(6)モノフルオール酢酸ナトリウム
毒劇物取締法で農薬かつ特定毒物に指定されている非常に危険なものです。
上記に挙げた黄燐同様に、使用しないで下さい。
このように、ネズミを死亡させるに至る過程で、
1回の喫食で急性的に死亡する毒性の含有量が
高い薬剤を急性殺そ剤といいます。
その中でも、摂食後10時間未満で死亡するものを、
速効性毒急性殺そ剤(そっこうせいどく、きゅうせいさっそざい)といい、
上記の(1)~(3)がそれに当たります。
又、摂食後10時間以上で死亡するものを
遅行性毒急性殺そ剤(ちこうせいどく、きゅうせいさっそざい)といい、
(4)がそれに当たります。
上記の殺そ剤は、喫食性・殺そ力・速効力は
優れているのですが、毒性が強いがために、
仲間が苦しんでいる姿を見て、忌避してしまうこともあります。
そして何よりも、ネズミ以外に誤食されるようなことを
絶対に避けなければなりませんので、実作業にリスクがあります。
■使用上の注意
人間や家畜にとって有害です。保存には十二分に注意しましょう。
万一、身体に異常を来した場合や誤食してしまった時は、吐き出しましょう。
そして、救急で治療を受けて下さい。
■保管上の注意
①食品、食器、飼料などと容器は必ず区別し、表示をしましょう。
②小児やペットの絶対に手の届かない所、又、
直射日光の当たらない低温で乾燥した所にカギをかけて保管しましょう。
③不要になった毒エサと使用済みの容器は、
それぞれの廃棄方法(ラベル記載)に従って行いましょう。
次回(次ページ)では、ネズミの体内に蓄積させて駆除する
慢性毒性殺そ剤(クマリン系殺そ剤)をご紹介します。
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