清掃を行うより、する必要が無い環境を作れ
こんばんは。
本日は、プロ向けのお話を少々。
居住空間に必ず生息するといわれるヒョウヒダニとコナダニ。
そして、読者おなじみの食菌性昆虫のチャタテムシ。
彼らもまた、アレルギー吸入といった健康被害を及ぼすのですが、
年中、温湿度の管理をされている、医薬品工場や食品工場では、
このチャタテムシに対しては、異物混入の危惧があり、
定期的なモニタリングが必要になります。
特に、医薬品工場は、製造工程上、分室化されており、
機密性が高くなっております。
ユスリカやコバエなどの外部侵入虫の問題は無いのですが、
空気の流れが無い分、こういった食菌性昆虫は、
生息しやすい条件がそろうので、
狭い1室でも
四方に床置きトラップを設置する必要があります。
そして、写真の通り、どこにでも生息可能なオールラウンドプレイヤーなので、
日頃の清掃・殺菌作業、隙間補修が必要となります。
建築工事では、職人として、外観が問われる施工を行いますので、
シーリングも薄くて綺麗です。
しかし、防虫工事となると少し違います。
① コーキングは、ぶ厚めに塗り、すぐに割れないようにする
② コーキングは上から見ているだけでは、剥がれていることに気づかない
③ コーキングが下手だと、凹凸が生じて、微細片の有機物(エサ)がたまる
ということで、予防策として、上から防虫用テープを貼られるお客様もあります。
どのような害虫に対しても、防除の基本が清掃であることは、皆さんお分かりだと思います。
しかし、チャタテムシなどの微小昆虫は、
清掃できない箇所をいかに見つけて対策するかがポイントとなります。
例えば、壁の中や脚廻りの中を掃除するといっても不可能に近いです。
『掃除をする必要がない状況に変えてしまう発想』
が大切になります。
対策が施されていない工場では、生息可能な箇所が無数にあるので、
1つずつ消し込みを行っていく必要があるのです。
① 汚れやすい場所は、いかに汚れないように工夫するか?
② 清掃も、汚れ度合いを調査して、エリアごとに頻度を決める
そうすることで、正しい5S活動となり、
虫の絶対数も少なくなり良好な製造環境が保たれます。
そして、一生懸命に調査を行う専門家が時々犯すトラブルがあります。
工場関係に於いて、清浄度区域が表示されている場合、
特に医薬品工場では、製造中に天井点検口を開けたり、
排水の封水トラップを開けたりなどといった行為を行うと、
それはクリーンエリアと一般エリア、ダーティエリアが一瞬でもつながったとされ、
製造ストップとなるような、重大トラブルになる場合もあります。
絶対に無許可で、点検することはやめましょう。